医療の現場から

Vol.14 脳卒中の危険因子について

手足が突然動かなくなり、言葉が出なくなる状態は、脳卒中と言う脳の血管の病気です。脳の血管が切れて脳出血になり、詰まると脳梗塞になり、物忘れや言語障害、運動麻痺を生じて寝たきりになります。脳出血・脳梗塞・くも膜下出血などを脳卒中と呼び、昔は成人病と言われましたが、現在は生活習慣病とされ、生活習慣を変えて、予防ができます。

脳卒中を起こしやすくする要因がいくつか確認され、危険因子と呼ばれています。代表的な危険因子は高血圧、糖尿病、肥満、高脂血症で、4つ揃うと死の四重奏やメタボリック症候群と呼ばれ、動脈硬化性疾患(心臓病や脳卒中)になる比率が30倍以上になります。

喫煙・運動不足・過度の飲酒も危険因子であり、禁煙・運動・節酒によって、脳卒中になる確率を減らせます。また脳卒中になる前の段階の隠れ脳梗塞を、頭部MRIで発見できます。隠れ脳梗塞が存在すると、脳卒中発症率は10倍を超えます。発症した脳卒中の20%は脳出血ですので、アスピリンなどの抗血小板薬による予防は、必ずしも適切とは限りません。

頚動脈を超音波で調べると、動脈硬化が判定できます。血管の内膜と中膜の厚さが1.0mmを超えると脳卒中発症率が2倍になり、内膜の一部分が盛り上がるプラークができると4倍になります。頭部MRIや頚動脈エコー検査により、脳卒中の危険率を類推できます。


トンネル型MRI


オープンMRI

また不幸にして脳卒中になっても、発症後に神経専門医に治療してもらうと、半年後の死亡率が有意に低下します。ご心配の方は、お近くの神経専門医(脳神経外科もしくは神経内科)に相談しましょう。

(文 / 小野伸夫)

Vol.13 ピロリ菌と胃・十二指腸潰瘍

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