医療の現場から

Vol.08 肝臓がんの予防と治療

近年、日本では肝臓がんが増加しています。そのため、流山市では肝臓がんの撲滅を目指して流山市基本健診にB型、C型肝炎ウイルス検査を導入しています。

肝臓がんの多くは、C型肝炎ウイルスの持続感染により発症します。C型肝炎ウイルスは主に輸血、刺青等により感染します。このウイルスに感染すると、自覚症状がないまま、慢性肝炎へと進み、さらに肝硬変へと移行し、感染後25年前後で肝臓がんになる傾向があります。

この進展を防ぐには、いくつかの方法があります。まず、インターフェロンという薬を注射して、ウイルスを消滅させる治療です。消滅できない場合は、インターフェロンでウイルス量を減少させておく方法です。インターフェロンを使えない場合は、抗アレルギー剤で肝臓の炎症を抑えておくことです。例えばGOT、GPTを二桁以内に維持しておく治療です。このような方法で肝臓がんは予防できる時代になりました。たとえ、肝臓がんになってもエタノール注入療法や肝動脈塞栓療法、さらには肝臓がん切除術や肝臓移植などで治療が十分可能です。

まずは市で行っている基本健診を利用し、あるいは、かかりつけの医師にご相談になり、C型肝炎ウイルス感染の有無を調べてもらいましょう。また、今年度から流山市基本健診の結果で、肝炎ウイルス陽性の方には、一貫した治療ができるように肝炎手帳を作成し、配布していますのでご利用ください。

(文 / 高桜芳郎)

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