医療の現場から

Vol.07 骨粗しょう症

世は健康ブームとか。サプリメント(栄養補助食品)の売り上げも増加しているようですが、今回は骨の健康、特に骨量について考えてみましょう。

現在わが国は飽食の時代と言われているにも関わらず、骨の源であるカルシウムの摂取量は非常に少なく、食糧に恵まれない国並みです。成人の1日のカルシウム摂取量に関しては、ある統計によりますと、日本550mg、インド770mg、米国900mg、英国1,000mgです。日本人のカルシウム不足の理由には乳製品の摂取量が少ないことがあげられます。そして問題となるのが骨粗しょう症です。この病気は「骨量減少とそれによる易骨折性(いこつせっせい)や腰背痛などの臨床症状を呈する疾患である」と定義されています。

骨量を維持するには、年齢にもよりますが、1日30分程度の散歩や日光浴と1日200mg(牛乳1本分)以上のカルシウムをさらに補充することが必要となります。

近年、骨粗しょう症に対する医学的進歩はめざましく、背骨のX線検査で骨萎縮度を判定したり、手のX線検査や前腕骨をある装置を用いて骨量を測定することが出来るようになっていますし、さらに骨の代謝、つまり破骨細胞と骨芽細胞(増骨細胞)の働きを血液検査でみることが可能になりました。このことにより骨の代謝(健康状態)が分かるようになったわけです。治療に関しては、骨芽細胞の働きを促進させるビタミンD製剤や、破骨細胞の働きを抑制するビスホスホネート製剤などが開発され、骨量を増加させる医学的治療が可能となっています。ご相談などは、市内のかかりつけ医や医療機関にお問い合わせください。

(文 / 豊島弘道)

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Vol.08 肝臓がんの予防と治療