医学コラム

体内時計と日内リズム

ほとんどすべての生物には、約24時間周期の生態リズムがあり、昼夜変化などの24時間周期の環境サイクルに同調しています。もし、昼夜の変化がなく時刻もわからない状況におかれたとしても、このリズムは24時間より少しずれた25時間前後の周期で保たれることがわかっており、それは体内時計が存在するためで、ヒトの場合、脳の深いところにあるといわれています。

東西飛行や交替勤務による時差ぼけなどの心身の不調は、このリズムの乱れを示す身近な例といえましょう。疾病との関連では、心筋梗塞の発作・突然死・脳血管障害の発症に日内リズムがあることがわかっています。例えば、脳梗塞は夜間に、脳出血は朝起床後に高頻度に起きるというように。

日内リズムに関連して、疾病発症の誘因となる外的因子としては、運動・食生活・アルコール・喫煙・気象条件などが、内的因子として各種の基礎疾患(糖尿病、高血圧、肥満)・自律神経・ホルモンの変化などがあげられます。これらの内外因子にさらされる私達にとって、せめて自らのもつ日内リズムを知り、うまくつきあっていくことも必要ではないでしょうか。

(文 / 杉下 裕子 「杉下医院」)

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