医療の現場から

Vol.09 乳がんの予防と治療

女性にとって関心の的の疾病に乳がん(腫瘍)があります。乳がんの死亡者数は年々増加していて、その7割が65歳未満です。発症しやすい年代は40歳~70歳ですが、最近は30歳代の後半から上昇しはじめて、45歳~49歳の年齢層の増加が目立ちます。

流山市では、医師会の協力を得て30歳以上の女性を対象に、保健センターで毎年11月~翌年1月にかけて乳がんの集団検診を行っています。(個別検診は通年実施)。昭和63年より一次検診として問診、視診、触診による検診を行ってきましたが、平成14年度より一次検診に乳房X線撮影(マンモグラフィ)を導入しました。乳がんから身を守るためには、月1回の自己検診と年1回の乳がん検診を受ける習慣を定着させることが望まれます。家系にがんの多い方、既往歴としてがんのある方、血性乳汁の出る方またはその既往のある方、良性乳腺疾患の既往のある方等が一般的にハイリスクとなります。検診で腫瘍が疑われますと、超音波検査、細胞診(針で取った細胞の悪性度チェック)、または生検(一部組織の試験採取)などの手順を踏んで、経過観察か手術が必要と判定されます。

近年は、検診等で早期に発見されることで、乳房温存手術(乳房の形を残す部分切除術)が多くなりました。早く見つかれば見つかるほど、乳がんで命をおとすことも、乳房を失うことも少ないわけです。自己検診によって「しこり」が触れたり、乳房に何らかの異常や自覚症状のある場合は、速やかに医療機関で受診されることをお勧めします。

(文 / 横田勝正)

Vol.08 肝臓がんの予防と治療

Vol.10 うつ病と叱咤激励