医療の現場から

Vol.06 緑内障

緑内障は、眼圧上昇などが原因で視神経が障害され、見える範囲が狭くなる病気で、中高年の人に多く、常に成人の失明原因の上位2~3位を占めています。最近の調査では、40歳以上の17人に1人がこの病気にかかっていると言われていますが、そのうち治療を受けている人は2割にも満たず、残りの人は自分が緑内障であることには気付いていない事が分かりました。

ものが見えるためには、網膜で光の信号を電気の信号に変え、この信号が視神経を通して脳まで伝わる必要があります。緑内障は、この視神経が眼圧や血行不全などのために少しずつ切れていく病気です。視神経が切れると、見える範囲(視野)がだんだん狭くなり、最後には光も感じなくなってしまいます。視神経は一度切れると元に戻らないので、緑内障の治療は目薬や飲み薬、手術によって眼圧を下げたり、視神経の血行を改善して病気の進行を止めることが目的になります。緑内障では視力は末期になるまで保たれ視野障害もゆっくり進行するので自覚症状に乏しく、発見されたときには病気がかなり進行していることがよくあります。しかし、一度かけた視野はもう元には戻せないので、緑内障の対策は早期発見・早期治療です。

緑内障を発見するためには、まず眼底検査と眼圧検査をします。どちらかの検査で異常があった場合は視野検査を行い、この検査で緑内障特有の視野変化が確認できれば緑内障と診断されます。眼底・眼圧検査は比較的簡単な検査ですので、緑内障が心配な方は、ぜひ眼科医に相談してください。ここで一つ注意しておきたいのが、健康診断や人間ドックで行う眼底検査では緑内障の発見に対応していない場合があり、緑内障が見落とされる可能性がありますので、検査の前に確認が必要です。

(文 / 佐藤直樹)

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